オリジナル、タイムレス、モダンそしてクラシックな椅子 – 世代を越える家具

オリジナルか否か

2011.11.21Mon

ときどき私は考えます。私はどうして東京とデンマークにある自宅の家具について繰り返し考えるのだろうか、と。家具を見て、そしてその背景を考えるのです。壁にかけてある絵のように。家具にはストーリーがあります。

 

顔見知りではあるが、そんなによく知っているわけではない人が、彼の家の前を通りかかった私を呼び止めました。「ニールス、中へ入って新しいイージーチェアを見て下さい」と。私は家の中に入りました。そこにはデンマークの有名な建築家、アルネ・ヤコブセンが1950年代にデザインした「エッグチェア」がありました。私はじっと見ました。それはコピーだったので私は彼にそう言いました。

 

その日以来、彼は私が家の前を通りかかっても呼び止めなくなりました。彼はそのコピー商品を、本物を持っている人と同じように楽しんでいるのでしょうか! 私にはそうは思えません。

 

彼の家の窓辺を通り過ぎる私の姿を見て、彼は必ず自分のコピーの椅子のことを思い出すでしょう。

なぜ、仕事中に健康的に座る、という考えが日本にはまだやってきていないのでしょう! 何年もの間、私はこのことを不思議に思っていました。

 

この15年間私は 720 – 1300 mmの間で高さ調節のできるテーブルを使っています。自宅でもオフィスでも。最初の頃のものはガスシリンダーで調節するものでしたが、今は電気です。音も静かで、簡単に調節が可能です。これらのテーブルすべては輸入品でした。輸入経費は高くつきましたが、健康には替えられません。私は働く時間の50%は立って仕事をしています。残りの50%は健康的な椅子に座っています -これはピーター・オプスヴィックのデザインによる有名な「ヴァリアブル・バランス」です。背骨の痛みを取り除くためには一番良い方法だと思えます。

 

私は社員と一緒に何年にもわたって高さ調節の可能な立式のワーキングテーブルを販売しようと努力してきましたが、成功したのは外資系企業向けのみでした。バランスチェアについてはどんなオフィスでも大丈夫です。社員のうちの誰かが背骨の痛みを訴えたら交代で使えば良いのです。しかし不幸なことにこのバランスチェアも日本ではあまり考慮されません。

 

デンマークでは簡単なことでした。法律ができたのです! ほんとうのことです。もしコンピュータで1日に3時間以上働く人は高さ調節機能のあるテーブルを持っていなければならない。もう123年前から95%以上のオフィスで高さ調節可能なテーブルを使っていますが、これが現在のほとんどのオフィスの状態です。法律が仕事の環境についてできることがあるということです!

 

 

 

 

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http://http://royal-furniture.co.jp/retail/varier/variable/

先に2人組のデザイナーについて話しましたので、もう少し説明をしましょう。ピーター・ヨルト・ローレンツェンとヨハネス・フォーサムは25年以上にわたり一緒に仕事をしてきており、また他にも、デンマークの「デザインカップル」で成功している人たちはたくさんいます。(何人かは途中で別れていますが……)。

 

もっとも成功している人たちはスタッフさえ雇っていないこともしばしば。彼らは自分たちだけで仕事をし、支え合っています。このやり方が巧いやり方でないなら、今日のように多くのデザインカップルは存在しなかったでしょう。驚くべきことは、デンマークで非常に成功しているデザイナーの多くは2人で仕事をしているということです。長い目で見れば一人より二人の方が巧くいくということ。我々の人生のように!

それは、デンマークでデザイナーになることです! パートナーと一緒に仕事をしても百万ドルを稼ぐことができます。これは本当です。

 

その理由のひとつは、デンマークの会社はその製品の90%を輸出しているからです。従ってその売上は大きなものとなっています。家具だけではなく雑貨の業界でも輸出に成功している会社がたくさんあります。たとえば、キッチン用品のデザインを手がける、ヘンリック・ホルバックとクラウス・イェンセンによるユニット、「ツールズ」のコミッションは2億円を超えています! 

 

また、2人組の家具のデザイナーであるピーター・ヨルト・ローレンツェンとヨハネス・フォーサムもラムホルツ社の「キャンパスチェア」のデザインで同じくらいの額に達しています。もちろん彼らは25年以上もの間デザインに携わっています。当然成功はそんなに簡単にはやってきませんけれども……

数多くのデンマーク人デザイナーが成功しているのはなぜか、と聞かれることがよくあります。それは事実ですが、指摘しておかなければならないのは、たくさんあるデザインスクールの卒業生の数に比べれば、成功している人は、それでもほんの一握りだということです。

 

質問に戻りましょう。成功の要因として、最初にあげられるのは、長い伝統から培われた、さまざまな分野のデザインを学ぶ4年間のデザイン教育です。そして、「売れなければ支払わない」というシステムです。メーカーは売上に応じ、平均してインボイス金額の5%程度をデザイナーに支払います。

 

このロイヤリティーは50年あるいはそれ以上継続します。こうしたロングライフデザインが生まれる前提として、一点重要なポイントがあります。それは卒業後間もないデザイナーの多くは、生まれたときから高いレベルのデザインを誇る社会の中で育ってきているということです。このことについては以前のブログをご覧ください。

 

メーカーはロイヤリティーを支払うことを厭いません。ただ、多くのメーカーは決まった金額を支払うと約束しますが、支払わないこともあります。支払う能力がある大きなメーカーにおいても、です。その理由からだけでもメーカーは、常にデザイナーから最良のものを得ているとは感じていないことがわかります。

 

このことは、現代のデザイナーにとって大きな将来があることを意味します。ひとつのデザインに対し、その都度支払われることで成功するからです。そのデザイナーの仕事が増えるに従って、彼らの収入は着実に増えていくのです。クラシックデザイン、つまり名作を生み出せば、着実にあなたの年金は増えていくのです!

厳しいコレクター

2011.07.25Mon

私は家具について良く勉強し、ときには代理店よりも製品について知っているお客様がいることに感心します! 最近ある販売店の人が期待したほどには売れていないと話をしてきました。理由はその家具が日本で生産されているからです。これまでと同じように高品質で(高価で)何も違ったことはないのですが、海外のメーカーがつくらなくなったからです。だからその家具は急に魅力的ではなくなったのです。

 

誰もがこのように考えるとは思いませんが、もしメーカーが長年にわたる伝統をもっているならそれが椅子の個性となり、それがなくなれば魅力もなくなると思えます。これは非常に個人的な考え方だとは思いますが、ここでも言えることは「アイコンチェア」のストーリーを過去に語り継がれてきたのと同じように伝えていくことがいかに大切かを示していると思います。

日本の特異性

2011.06.17Fri

過去20年にわたり、私は、北欧のメーカーに対して日本のマーケットは彼らが考えているほどには大きくないということを伝えなければなりませんでした。理由は簡単です。北ヨーロッパの典型的な家には屋根付きのガレージ、物置そして特に古い家には地下室があります。アパートの多くには物置のための地下室や別棟の物置があります。それと比べて日本の場合は上のようなものはほとんどありません。どこにものをおけば良いのでしょう! 同じ理由から家には色々邪魔なものがあふれ、家具の場所さえなくなります。

 

というわけでヨーロッパに比べてマーケットは非常に小さなものになります。また、インテリア商品にかける費用は非常に低く、例えばドイツなどでは日本の4倍ものお金を家具にかけています。

 

しかし、良い点はほとんどの家庭にインテリアの全体的な印象に大きな違いを与える「アイコンチェア」を1脚か2脚置くためのスペースがあるということです。

自分の家に何を選んで購入するかを決めるのはまったくの自由です。あなたの家族以外はあなたの決定に「ノー」とは言えません。世界中を見渡しても日本ほど、個人用の椅子が売れている国はありません。4脚や6脚ではなく、しばしば1脚という単位で。

 

このことは1脚の椅子が「私の椅子」という決定に基づいて購入されているといえます。これはヨーロッパの国々では普通のことではありません。ヨーロッパでは皆同じ椅子でなければならないのです。しかし、テーブルの周りに違うタイプの椅子を並べる方が楽しいと思いませんか!

 

1回に1脚の椅子を購入するお客様にとっては何年もかかって買い足していくということであり、廃番にならない椅子を選ぶということが大切になってきます。つまりこういうお客様は結果としてタイムレスデザインの椅子を買うことになるのです。

大ヒット商品

2011.05.13Fri

国際的に大きな成功を納める椅子をデザインすることは簡単なことではありません。成功といえるためには、メーカーは1年に4−5000脚の椅子を製造する必要があります。大きいメーカーにとってはもっと多くを製造する必要があるでしょう。

 

軽量で多目的に使用できる椅子で本当に成功を収めたといえるメーカーは、10年かそれ以上に一度出るくらいでしょう。それも全世界の家具業界においての話です。

 

19年前に私はこの有名クラシックチェアの誕生を経験しました。私はドイツの展示会において、その新しい椅子を発表したメーカーの向かい側のブースにいたのですが、その椅子は簡単なデザインで大げさなものではありませんでした。しかし、展示会の期間中にたくさんの人が訪れ、このメーカーは完全な勝利者となりました。それから数年後に、弊社はこの会社の代理店として約18000脚の椅子を販売しました。そしてこれはメーカーにとっては数あるマーケットのうちのひとつに過ぎなかったのです。この椅子はスウェーデン、ラムホルツ社の「キャンパスチェア」で、今でも我々のコレクションのひとつです。何年も経って私はこの椅子の可能性をより良く判断することができるようになりましたが、椅子が発表された最初の頃にはわかりませんでした! 私の何十年もの家具ビジネスにおける最大の失敗はスターが生まれる瞬間を見逃したことです。

イケアの話

2011.05.06Fri

スウェーデンを間近に見ることの出来るコペンハーゲンにいると、こんなに近くにあり、こんなにも似通った点の多いふたつの国がインテリアの背景ということになると、なぜこんなに違っているのか不思議に感じられます。

 

スウェーデン人の建築家の手によるスウェーデンの有名な建築物は、デンマークの建築物に比べると非常に少ないのです。スウェーデンで見られる世界的にも著名な建築物といわれるものはデンマークの設計家の手によるものです。

 

不思議に思われるかもしれませんが、本当のことです。

 

この国では、第二次世界大戦のすぐ後につくられた巨大なインテリアショップ「イケア」が長年にわたり家具、インテリアの消費の約35%のシェアを占めていました。

 

誰もがイケアの家具について語ります。親が、隣人が、メディアが、そしてその他にも。技術を習得するのに良い環境とは言えません。環境の中でのデザインに関する変化の乏しさと言う事が言えます、少なくとも創造性と言うレベルでネガティブな効果を与えていると言えます。もちろんスウェーデンのデザインと言うのは優れたものであり、私のメッセージを間違って取らないでいただきたいと思います。

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